これまでのワークショップ

第11回から第15回


■第11回ワークショップ概要

 

基調講演

テーマ : 音楽の聴き方 講師:当学会会長 岡本 仁音感の訓練を通して聴覚を目覚めさせポリフォニーの勉強で磨きをかけることを意識して研鑽してきましたが、第11回では「主題を意識しながら音が紡ぎ上げられる様を耳と目で確かめる」ことをテーマに学びました。

題材 : モーツァルト作曲 交響曲第41番 ハ長調 “ジュピター”より 第4楽章

 

「カノンの実習」

様々なカノン作品の歌唱を通して、その構造や歌唱法を学びます。

自作カノンを指導するという本ワークショップならではの実践的な演習を通して、指導法や指揮法、さらに声部の役割、音域、テンポなどの考え方を学んでいきます。

 

今回は、より発展したカノンの歌唱を中心に「奇数フレーズのカノン」や「8声のカノン」などの課題を実習。複雑なカノンになるほど「よく耳を開き」、「ほかの声部にも気を配る」ことがいかに重要かを実践しました。

また、各声部の役割やバランスに耳を傾け、そのつど全体の進行に対応するという指揮法に求められる「感覚」の原点がカノンにあることを改めて学びました。

 

「音感トレーニング」 

音育の基礎ともいえる「音感」トレーニングを実習。 全員でピアノの周りに集まり、分散唱・分離唱、和音唱を通して、聴くことの大切さを学びます。

 

ピアノの単音から倍音を聴き取り、声に出すトレーニング。すなわち「耳をすませ」「倍音に気付き」「声に出す」、そしてその声が「ハモル」という体験を通してさまざまな感覚を磨き上げます。とくに倍音を声に出すトレーニングは、さまざまなアンサンブルにおいても基本となり、よりよく「ハモル」ことにつながるということがよくわかりました。

 

「指揮法実習」

第1回から一貫した実習として、カノンを作詞、 作曲し、それを参加者同士が指導し合うことで指揮の原則(考え方)を学んでいます。指揮棒を使用しながら指揮法の基礎(打点を意識 した振り方)を徹底的にレッスン。実際に指揮をしながら、各人の課題を明確にし、解決へと導きます。

 

指揮の軌跡は、常に基本の図形に立ち返り、ぶれることのない打点が大勢の奏者に対し的確にテンポを伝えることができる方法であること。また、合唱の場合、発音のタイミングが早くなっていることを取り上げ、次の拍への合図を見てどう表現するのか準備するところを、歌手が先んじて歌ってしまうことに問題があることを指摘されました。

 

「修了演奏」

毎回「フーガ」を用いたさまざまな大曲をワークショップの最後に修了演奏し・録音しています。

 

第11回の修了曲は、“Quoniam” (ハイドン「変ロ長調」ミサより)とHayesの8声の「Alleluia」を練習。「Alleluia」を録音しました。

 

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■第12回ワークショップ概要

 

基調講演

テーマ : 主題を奏する楽器を聞き分け、それに対する応答も目と耳で確認する鑑賞

講師:当学会会長 岡本 仁

題材 : ラヴェル作曲 ボレロ

 

「カノンの実習」

様々なカノン作品の歌唱を通して、その構造や歌唱法を学びます。

シンプルなカノンからより複雑なカノンへといくつかの課題曲を歌唱。歌詞の役割、メロディーの作り方など、カノンを自作し、指導するという実践的な演習を行いました。

 

「音感トレーニング」 

音育の基礎ともいえる「音感」トレーニングを実習。 全員でピアノの周りに集まり、倍音を聴き分けるトレーニングに始まり、分散唱・分離唱、和音唱を繰り返し練習しました。

 

「指揮法実習」

第1回から一貫した実習として、カノンを作詞、 作曲し、それを参加者同士が指導し合うことで指揮の原則(考え方)を学んでいます。指揮棒を使用しながら指揮法の基礎(打点を意識 した振り方)を徹底的にレッスン。実際にピアノ演奏を指揮し、各人の問題点をチェック。よりわかりやすい指揮を目指しました。

 

「修了演奏」

毎回「フーガ」を用いたさまざまな大曲をワークショップの最後に修了演奏し・録音しています。

第12回の修了曲は、“Exsultate Deo” (スカルラッティ作曲)を演奏・収録しました。

  

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■第13回ワークショップ終了報告

 

基調講演

テーマ : 歌、唄。うたう=歌う、唄う、謳う、謡う、詠う……について

講師:本学会会長 岡本 仁 

 

リズムとメロディーをつけて言葉を出す。節をつけて声を出す。歌の魅力とは。ことば、ふし、声、表現、聴く者の力と期待と……。

 

ワークショップも13回目となるが、今回は本学会のテーマ「声」「美しい音」をあらゆる角度から考察する一環として『歌、うたう』にスポットを当て、岡本会長のお話とともに演奏音源を聴いて学ぶこととなった。

 

代表的なソプラノ歌手3人の歌を聴く。

マリア・カラス、バーバラ・ヘンドリックス、キリ・テ・カナワ。

持ち声や表現力という言葉では説明できない、その生き様や背景が演奏のバックボーンとして、決して表に出されることなく、ごく自然に聴く者に感動を与える魅力となる。それが言葉や節、声によって一層強く感じられる。まさに『歌、うたう』の魅力なのだろう。

 

続けて、器楽による演奏を3曲。

ヨゼフ・スークのヴァイオリン、ヴィルヘルム・ケンプのピアノ、セルゲイ・ラミレスのギター。

共通して言えることは、楽器演奏にも関わらず、歌詞を持つ『歌』のように、スークもケンプもラミレスも演奏していることである。「ステージから楽器が消え、歌手が歌っているかのような感覚になる」という岡本会長の言葉が、まさにその通りで、演奏の真髄に触れて気がした。

 

最後にリュート伴奏による男声合唱。器楽と声楽のアンサンブルだが、リュートのもつ音色と男声がこれほどまでに温かく、まろやかな音楽を醸し出すとは思わなかった。弦の余韻が男声の母音の響きと相まって、えも言われぬ空気感が感じられた。

 

7つの音源を聴き終わり、そこに見えてきたもの、それは奏者の違い、手段の違いはあるものの、いかに「歌うか」が共通して音楽を感動へと昇華させられる唯一の方法ではなかろうかということだ。もっと言うなら、言語を超越し、人類が共通して感じられる「こころの共振」を起こさせることで、幸福感や感動を育み、生を実感できる音楽は、こころの栄養素、すなわち「こころのごはん」なのだという会長の言葉に、演奏の極意を見いだした講演であった。

 

「カノンの実習」

様々なカノン作品の歌唱を通して、その構造や歌唱法、指導法を学びます。

テキストの課題曲を参加者が指揮・指導。

講師岡本会長のアドバイスを受けながら、カノンの指揮する上でのポイントや歌い方などを学びました。

 

「音感トレーニング」 

音育の基礎ともいえる「音感」トレーニングを実習。

全員でピアノの周りに集まり、まず倍音に気付く実習。ピアノの1音から聞こえてくる倍音に気付き、音の要素を理論だけでなく体で感じるところから始めます。

次に耳が開いたところで分散唱・分離唱、和音唱を実習。さらに、指導する場合の注意点、とくにピアノの弾き方、課題の提示方法を参加者が実践し、学びました。

また、今回は当学会理事、高牧、堀内両氏による「声とヴィブラート」についての検証発表を行いました。実際に地声・ファルセットの声をパソコンで視覚化。音の波形を見比べながら分析。声の持つ倍音の量や音程の揺れ、音量の揺れなど様々な要素によって声の特徴、違いを感じていることが検証されました。

 

「指揮法実習」

第1回から一貫した実習として、カノンを作詞、 作曲し、それを参加者同士が指導し合うことで指揮の原則(考え方)を学んでいます。指揮棒を使用しながら指揮法の基礎(打点を意識 した振り方)を徹底的にレッスン。実際に指揮をしながら、各人の課題を明確にし、解決へと導きます。今回は、テキストの課題(3部合唱)を指揮・指導しながらブレスのタイミングやニュアンスの振り方などより実践的な指揮法を実習しました。

 

「修了演奏」

毎回「フーガ」を用いたさまざまな大曲をワークショップの最後に修了演奏し・録音しています。

第13回の修了曲は、ハイドンの変ロ長調ミサから"Quoniam"を取り上げました。 

 

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■第14回ワークショップ終了報告

 

基調講演

テーマ : バッハへの回帰

講師:本学会会長 岡本 仁

 

“古典への思いに寄せて”としてヨハン・セバスティアン・バッハを取り上げた。

1685年の今日(3月21日)がバッハの誕生日であることから、その日に因んで代表作を聴きながらバッハの生涯を振り返った。

 

取り上げた楽曲

(1) 管弦楽組曲 第2番からポロネーズ パブロ・カザルス:指揮/マールボロ管弦楽団

(2) コラール「主よ 人の望みの喜びよ」 カール・リヒター:指揮/ミュンヘン管弦楽団

(3) 小フーガ ト短調  ヘルムート・ヴァルヒャ:オルガン

(4) ブランデンブルク協奏曲 第5番より パブロ・カザルス:指揮/マールボロ管弦楽団

(5) イタリア協奏曲 第1楽章 カール・リヒター:チェンバロ

(6) マタイ受難曲より終曲 カール・リヒター:指揮/ミュンヘン管弦楽団

   

「カノンの実習」

様々なカノン作品の歌唱を通して、その構造や歌唱法、指導法を学びます。

テキストの課題曲を参加者が指揮・指導。

講師岡本会長のアドバイスを受けながら、カノンの指揮する上でのポイントや歌い方などを学びました。

 

「音感トレーニング」 

音育の基礎ともいえる「音感」トレーニングを実習。

全員でピアノの周りに集まり、まず倍音に気付く実習。ピアノの1音から聞こえてくる倍音に気付き、音の要素を理論だけでなく体で感じるところから始めます。

次に耳が開いたところで分散唱・分離唱、和音唱を実習。さらに、指導する場合の注意点、とくにピアノの弾き方、課題の提示方法を参加者が実践し、学びました。

また、今回は当学会理事、高牧、堀内両氏による「声とヴィブラート」についての検証発表を行いました。実際に地声・ファルセットの声をパソコンで視覚化。音の波形を見比べながら分析。声の持つ倍音の量や音程の揺れ、音量の揺れなど様々な要素によって声の特徴、違いを感じていることが検証されました。

 

「指揮法実習」

第1回から一貫した実習として、カノンを作詞、 作曲し、それを参加者同士が指導し合うことで指揮の原則(考え方)を学んでいます。指揮棒を使用しながら指揮法の基礎(打点を意識 した振り方)を徹底的にレッスン。実際に指揮をしながら、各人の課題を明確にし、解決へと導きます。今回は、テキストの課題(3部合唱)を指揮・指導しながらブレスのタイミングやニュアンスの振り方などより実践的な指揮法を実習しました。

 

「修了演奏」

毎回「フーガ」を用いたさまざまな大曲をワークショップの最後に修了演奏し・録音しています。

第14回の修了曲は、バッハのマニフィカトから"Sicut licutus est"を取り上げました。  

 

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■第15回ワークショップ終了報告

 

「基調講演」

テーマ : 和声音楽と多声音楽

講演:本学会会長 岡本 仁

 

芥川也寸志 著 『音楽の基礎』 (岩波新書)から引用した文言をテーマに据えて、和声音楽と多声音楽について学びました。

まず、マルチン・ルターのコラールから“Ein' Feste Burg ist unser Gott”をバスパート、ソプラノ+バスパート、アルト+テノールパートとパートごとにオルガンによる演奏で聴き、和声音楽の構造を目(楽譜)と耳で確認。

続いてヨハン・セバスティアン・バッハのインヴェンション第1番をピアノ演奏により、全体、右手、左手の旋律に分けて聴き、多声音楽の構造を確認。

最後にセザール・フランクのヴァイオリンソナタイ短調の4楽章を聴き、時代を経て作られた音楽に共通して流れる基本、音楽の源流を目と耳で確認しました。

音楽を目と耳でよく観察し、より深く味わうこと。これは本ワークショップのテーマである “「聞く」とは音や声を耳で感じることだが、「聴く」とは聞こえたものの内容を理解し芸術としての良さを味わう ということ” すなわち音楽とは、こころに染み込み、こころの栄養となる「こころのごはん」を実践する貴重な講演となりました。

 

「カノンの実習」

様々なカノン作品の歌唱を通して、その構造や歌唱法、指導法を学びます。

テキストの課題曲を参加者が指揮・指導。講師岡本会長のアドバイスを受けながら、カノンの指揮する上でのポイントや歌い方などを学びました。

歌い始め、終わり方、その気にさせる合図やことば、指導者の立つ位置など、指揮・指導する上で多くの重要なポイントを実習することができました。これらは後半の指揮法へとつながっていきます。

 

「音感トレーニング」 

音育の基礎ともいえる「音感」トレーニングを実習。

全員でピアノの周りに集まり、まず倍音に気付く実習。ピアノの1音から聞こえてくる倍音に気付き、音の要素を理論だけでなく体で感じるところから始めます。

次に耳が開いたところで和音を瞬間的に聴き取り、ドイツ音名でスタッカートで歌う分散唱を実習。

これらは、けっして音楽の専門家養成トレーニングではなく、感覚を磨き、感じ取れるレンジを拡げること、声を合わせてハモル喜びや楽しみを感じられるようになることで生き生きとした人生を送れるようになるのだから面白い。

 

「指揮法実習」

第1回から一貫した実習として、カノンを作詞、 作曲し、それを参加者同士が指導し合うことで指揮の原則(考え方)を学んでいます。指揮棒を使用しながら指揮法の基礎(打点を意識 した振り方)を徹底的にレッスン。実際に指揮をしながら、各人の課題を明確にし、解決へと導きます。

歌い始めの指揮棒の位置、指揮者の「ブレス」とは、指揮棒を止めること・動き出しのスピード、指揮棒を柔らかく動かすという意味、最後の切り方など技術的な要素を学びましたが、それらに勝る一番重要な要素は「体からにじみ出る指揮者のオーラ」だということには、目から鱗が落ちる思いでした。

今回のポイントはフェルマータ。伸ばすときの指揮棒の動き、動き出しとブレスを中心に実習しました。

 

「修了演奏」

毎回「フーガ」を用いたさまざまな大曲をワークショップの最後に修了演奏し・録音しています。

第15回の修了曲は、行基 詞、成田為三 作曲「ほろほろと」とモーツァルト 作曲「三位一体ミサ」のGloria から “Cum sancto Spiritu” を演奏、録音しました。