これまでのワークショップ

第21回〜


■第21回ワークショップ

 

今回のねらい  会長:岡本 仁

教育音楽学会は、発足当時から3本の柱<音感・ポリフォニー・指導法>を学んでまいりました。

前回、10周年・第20回目のワークショップを行い、参加者中、ほとんど有志によって、これまでにここで学んできたことの上に独自の研究を重ねて、全会員及び当日参加されたゲストの前で、作品や演奏を披露し、いままでないユニークな音楽シーンが展開されました。

今回から第2ターンに入ることになります。

初心に帰って3本の柱を徹底して研究実践していきましょう。

 

(1)自然倍音であるところの三和音の聴き取り

(2)岡本(あるいは何人かのリーダー)の指導の下、カノンを歌う

(3)各自が全会員に対してカノンを指導する(範唱し・模唱させ・ハモらせたのち同時終止)

(4)上記の積み重ねにより、ポリフォニーに対する感覚を磨く

(5)当日の仕上げとして易しいフーガの曲を歌い、音楽の感想を味わって解散する

 

さらに、随時積極的に質疑を行い、疑問に思うところを極力解消し、時間に余裕があれば懇親会に参加して交流を深めると同時に互いに啓発し合いましょう。

 

「基調講演」

テーマ : 日本の洋楽が始まったころ    

講演:本学会会長 岡本 仁

 

月刊「向上」の2017年7月号に掲載された岡本 仁執筆の「洋楽が始まったころ」をテキストに世界年表を参照しながら、日本人が洋楽に真剣に取り組んだきっかけ、洋楽を専門に学ぶ学校の設立、同時代のヨーロッパに作曲家たちと話しが進みます。それらが明治初期だったことを伺い、当時の人たちが西洋の知識を貪欲に取り込んだパワーに感心させれら、同時に日本がいまだにスタートラインから走り始めたところであることにあらためて気づかされました。

 

講演のなかで、当時(ペリーが黒船で来航したころ)の作曲家の一人であるベルリオーズの「ローマの謝肉祭」を鑑賞。基本的には単純な旋律で組み立てられていることをスコアをスクリーンに表示しながら確認しました。

 

「カノンの実習」

テキストの課題曲を参加者が指揮・指導。講師岡本会長のアドバイスを受けながら、カノンの指揮する上でのポイントや歌い方などを学びました。

 

「音感トレーニング」 

音育の基礎ともいえる「音感」トレーニングを実習。

全員でピアノの周りに集まり、まず倍音に気付く実習。ピアノの1音から聞こえてくる倍音に気付き、音の要素を理論だけでなく体で感じるところから始めます。

 

研究発表「パイプオルガンと倍音の関係」小関理事

ワークショップ会場として使用している「雪頂講堂」には、独ボッシュ社製造のオルガンが講堂正面に備え付けられており、オルガンが使えるこの機会に当学会の研究テーマの一つ「倍音」について、オルガンの演奏を交えながらの発表でした。

オルガンは発音原理からパイプ(管)を発音させる際に特定の倍音を強調することで、多彩な音色の表現を可能にしていることを説明。ほかにピッチを微妙にずらしたパイプと通常ピッチのパイプを同時に鳴らすことで、音に揺れを生じさせ(コーラス効果、バイブレーション)て単旋律を演奏。とても柔らかく歌っているような効果があり、オルガンの幅広い表現力を体感することができました。最後にラヴェル作曲バレエ音楽「ボレロ」を鑑賞しながら、曲中でオルガンの倍音効果を意図的に管楽器で再現していることに触れ、倍音の奥深さに触れる発表となりました。

 

「指揮法実習」

第1回から一貫した実習として、カノンを作詞、 作曲し、それを参加者同士が指導し合うことで指揮の原則(考え方)を学んでいます。指揮棒を使用しながら指揮法の基礎(打点を意識 した振り方)を徹底的にレッスン。実際に指揮をしながら、各人の課題を明確にし、解決へと導きます。

課題曲をカノンに加え、短い楽曲も取り上げ、受講生が交替で実践していきます。

 

今回は、作詞の宿題の発表と合わせて実施しました。課題曲ではとくにフェルマータの扱いとその後のブレスのさせ方を徹底的に実践。さらにフォルテの表現方法、緊張と弛緩の使い分け、合唱のみならずオーケストラ伴奏の場合にも触れ、ワンランク上の指揮法実習となりました。

 

「修了演奏」

毎回「フーガ」を用いたさまざまな大曲をワークショップの最後に修了演奏し・録音しています。

今回はシュタイン作曲の “Gloria in excelsis Deo”とヴィヴァルディ作曲のグローリアからCum Sancto Spirituを演奏、録音しました。