これまでのワークショップ


■第16回ワークショップ終了報告

 

「基調講演」

テーマ : カノンについて

講演:本学会会長 岡本 仁 

 

「カノンの実習」

テキストの課題曲を参加者が指揮・指導。講師岡本会長のアドバイスを受けながら、カノンの指揮する上でのポイントや歌い方などを学びました。

歌い始め、終わり方、その気にさせる合図やことば、指導者の立つ位置など、指揮・指導する上で多くの重要なポイントを実習することができました。これらは後半の指揮法へとつながっていきます。

 

「音感トレーニング」 

音育の基礎ともいえる「音感」トレーニングを実習。

全員でピアノの周りに集まり、まず倍音に気付く実習。ピアノの1音から聞こえてくる倍音に気付き、音の要素を理論だけでなく体で感じるところから始めます。

次に耳が開いたところで和音を瞬間的に聴き取り、ドイツ音名でスタッカートで歌う分散唱を実習。

 

「指揮法実習」

第1回から一貫した実習として、カノンを作詞、 作曲し、それを参加者同士が指導し合うことで指揮の原則(考え方)を学んでいます。指揮棒を使用しながら指揮法の基礎(打点を意識 した振り方)を徹底的にレッスン。実際に指揮をしながら、各人の課題を明確にし、解決へと導きます。

前回より課題曲をカノンに加え、短い楽曲も取り上げ、受講生が交替で実践していきました。

 

歌い始めの指揮棒の位置、指揮者の「ブレス」とは、指揮棒を止めること・動き出しのスピード、指揮棒を柔らかく動かすという意味、最後の切り方など技術的な要素を学びました。

とくにフェルマータ。伸ばすときの指揮棒の動き、動き出しとブレスを中心に実習しました。

 

「修了演奏」

毎回「フーガ」を用いたさまざまな大曲をワークショップの最後に修了演奏し・録音しています。

第16回の修了曲は、ハイドン作曲ミサ ニ短調」から “Credo” を演奏、録音しました。

 

…………

 

■第17回ワークショップ終了報告

 

「基調講演」

テーマ : 『音楽を理解する』ということとは

講演:本学会会長 岡本 仁 

 

「カノンの実習」

テキストの課題曲を参加者が指揮・指導。講師岡本会長のアドバイスを受けながら、カノンの指揮する上でのポイントや歌い方などを学びます。

今回は、「逆さ富士のカノン」「五度のカノン」「二度のカノン」など10曲以上の代表的なカノンを教材に実践しました。

歌い始め、終わり方、その気にさせる合図やことば、指導者の立つ位置など、指揮・指導する上で多くの重要なポイントは、音楽家のみならず社会人として求められる基本的なマナーにも及びます。

 

「音感トレーニング」 

音育の基礎ともいえる「音感」トレーニングを実習。

全員でピアノの周りに集まり、まず倍音に気付く実習。ピアノの1音から聞こえてくる倍音に気付き、音の要素を理論だけでなく体で感じるところから始めます。

次に耳が開いたところで和音を瞬間的に聴き取り、ドイツ音名でスタッカートで歌う分散唱を実習しました。

 

「指揮法実習」

第1回から一貫した実習として、カノンを作詞、 作曲し、それを参加者同士が指導し合うことで指揮の原則(考え方)を学んでいます。指揮棒を使用しながら指揮法の基礎(打点を意識 した振り方)を徹底的にレッスン。実際に指揮をしながら、各人の課題を明確にし、解決へと導きます。

課題曲をカノンに加え、短い楽曲も取り上げ、受講生が交替で実践していきました。

 

歌い始めの指揮棒の位置、指揮者の「ブレス」とは、指揮棒を止めること・動き出しのスピード、指揮棒を柔らかく動かすという意味、最後の切り方など技術的な要素を学びます。

とくにフェルマータ。伸ばすときの指揮棒の動き、動き出しとブレスはとても重要です。

 

「修了演奏」

毎回「フーガ」を用いたさまざまな大曲をワークショップの最後に修了演奏し・録音しています。

第17回の修了曲は、シューベルト作曲 ミサ ヘ長調」から “Cum Sancto Spiritu” を演奏、録音しましたが、完成には至りませんでした。

  

…………

 

■第18回ワークショップ終了報告

 

「基調講演」

テーマ : 「基礎・基本」ということ    

講演:本学会会長 岡本 仁  

 

基礎・基本という言葉の定義にはじまり、古代ギリシアに起こり、現代まで広く受け継がれている学問の考え方で人が身に付けるべき教養としてあげられた7つ学科(自由七科・リベラルアーツ)の中に「音楽」が含まれていることから、音楽が文法学や修辞学、算術、幾何学などの学問と、なぜ同じ位置づけで捉えられたのかを深く掘り下げる内容でした。

 

まず、基礎とは土木でいうところの土台となる一番重要な部分となりますが、音楽のアンサンブルで言う「ベースパート」は、まさにアンサンブルの土台となる重要な役割を持ちます。一方の基本とは音楽で言うところの「テーマ・メロディ」にあたり、音楽を構成する要素です。本ワークショップで常に基本として学んでいる「カノン」はその一番シンプルな形で、その発展形が修了曲として演奏しているフーガへと結び付きます。

 

また「リベラルアーツ」の日本語訳は普段何気なく使っている『芸術』で、19世紀幕府の指示でオランダに留学した西 周(にし・あまね)が現地で触発され、日本に持ち帰り、造語したものだと聞き、「芸術」の言葉の背景に七科があることを知りました。

芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチを例に、絵画のみならず、飛行体の設計や土木建築、医学、作曲に楽器演奏(ワークショップ終了後調べたところ歌もうまかったらしい)に至る様々な知識、技能を身に付けていたまさにリベラルアーツが実践されていたということがわかりました。

 

続いて「音」の研究を行ったピタゴラスについて触れ、七科の一つ「算術」により音律(音程)の法則性を見い出しましたが、日本的な音階として言われる「ヨナ抜き」(ドレミソラ)は、ピタゴラスの計算で導き出された最初の5つの音程と同じだったことには驚きました。

 

最後にプラトオの著述「理想国家」に書かれた音楽についての記述で、その影響力は理想的な国家を形成する上で重要な要素となると書かれており、当時の人たちが音楽に対して高い意識を持っていたと知り、振り返ってこれらのことは、本学会の設立趣旨に掲げられ、ワークショップで学ぶすべての根底に流れている精神であることをあらためて認識しました。

 

講演で聴いた音楽

古代ギリシアの音楽 (参考CD:G. パニアグワ&アトリューム・ムジケー古楽合奏団)

(1)太陽神への讃歌

(2)最古の讃美歌

パピルスに記録された断片を元に、復元した楽器と奏法で演奏したもの。

 

「カノンの実習」

テキストの課題曲を参加者が指揮・指導。講師岡本会長のアドバイスを受けながら、カノンの指揮する上でのポイントや歌い方などを学びます。

今回は、テキストから「夏が来た」「聞こえる」でその指導方法や指揮のしかたを実践。さらに作詞の宿題を全員が発表し、指揮・指導。要所要所で講師のチェックが入り、緊張の中も各自の個性あふれる作品と指導方法でたくさんのことを学びました。

 

「音感トレーニング」 

音育の基礎ともいえる「音感」トレーニングを実習。

全員でピアノの周りに集まり、まず倍音に気付く実習。ピアノの1音から聞こえてくる倍音に気付き、音の要素を理論だけでなく体で感じるところから始めます。今回は、本学会の理事で武蔵野大学助教の高牧恵里さんの指導で実習。倍音に耳が開いたところで3名一組に別れ、三和音をハモらせた時には独特の高揚感と頭の中がクラクラする酩酊感というか陶酔覚えました。

 

「ピタゴラスの音律について」

ここで本学会の理事、堀内直治さんに基調講演でも触れた「ピタゴラス音階(音律)」についてのレクチャーを受けました。複雑な計算方法をできるだけわかりやすくかみ砕いて説明。平均律との違いもわかりました。

 

「指揮法実習」

第1回から一貫した実習として、カノンを作詞、 作曲し、それを参加者同士が指導し合うことで指揮の原則(考え方)を学んでいます。指揮棒を使用しながら指揮法の基礎(打点を意識 した振り方)を徹底的にレッスン。実際に指揮をしながら、各人の課題を明確にし、解決へと導きます。

課題曲をカノンに加え、短い楽曲も取り上げ、受講生が交替で実践していきます。

 

今回は、作詞の宿題の発表と合わせて実施しました。課題曲ではとくにフェルマータの扱いとその後のブレスのさせ方を徹底的に実践。さらにフォルテの表現方法、緊張と弛緩の使い分け、合唱のみならずオーケストラ伴奏の場合にも触れ、ワンランク上の指揮法実習となりました。

 

「修了演奏」

毎回「フーガ」を用いたさまざまな大曲をワークショップの最後に修了演奏し・録音しています。

今回はバッハ作曲 ロ短調ミサから “Crucifixus”とシュタイン作曲の “Gloria in excelsis Deo”を演奏、録音しました。

“Crucifixus”は声楽的に高い技術が求められる作品で、今回だけでは完成にいたらず、次回の再挑戦となりました。

 

…………

 

■第19回ワークショップ終了報告

 

「基調講演」

テーマ : アーティキュレーションについて    

講演:本学会会長 岡本 仁

 

音を明瞭に出すこと、語をはっきりと発音することで、単に句読点、音楽で言うところのフレージングを指すのではなく、もっと細部にわたる『長短・強調・高低・遅速』等の考慮、設定の全般を指して言うこととし、多くの用語がその内容を伝えるべく使用されると説き、基調講演のテーマがスタート。

 

まず、日本語の文例を参考にフレージングを変える、つまり脈絡に関係なく言葉を区切ることでまったく意味が通じなかったり、別な意味を持つように変わってしまうLことがわかります。では、音楽の場合はどうでしょう。Vivaldiのヴァイオリン協奏曲『四季』から「春」を例に楽譜を見ながらいくつかのアンサンブルの演奏を聞きながら検討することになりました。

 

講演で聴いた演奏

 ①イ・ムジチ合奏団

 ②ルツェルン祝祭合奏団

 ③イタリア合奏団

 ④パイヤール室内管弦楽団

 ⑤F.BIONDI ; EUROPA GALANTE

 

アーティキュレーションの取り方で演奏そのものが特徴付けられ、印象に残る演奏となる、歌詞を伴わない器楽曲でも言語的なセンスが求められ、話者、すなわち演奏者が音で語ることがアーティキュレーションの本質であることが実感できました。とくに弦楽四重奏のような小編成のアンサンブルでは、個の確立と全体の調和が表出されやすく、演奏する上で習うべきものが多いと気付かされました。

 

アーティキュレーションから演奏スタイル、アンサンブルに話が進みます。

 

アンサンブルをする上で重要なことはなんでしょう。それは、個性を殺さず、個性を主張すること。矛盾しているようですが、わかりやすく言えば「ユニゾンがハモル」ということ。

 ユニゾンとは複数の声や楽器が同じ高さの音を奏でることですが、その本質は同化ではなく協調、共振。つまり音が一つになることを目指すのではなく、個々にきちんと聞こえていながら、総体として調和している状態を目指すべきであるということ。それこそが「ユニゾンがハモル」ことになり、アンサンブルのキモであること教わりました。

 

目から鱗、まさに「和して同ぜず」です。人の生き方を説いた論語の一節ですが、音楽を通して学ぶ、音楽から教わった基調講演となりました。

 

 

■次回のワークショップ記念音楽祭に向けたプローベ

 

教育音楽学会では設立当初より年2回のワークショップを続け、次回で20回目を迎えます。事務局では、来年この節目を記念して記念音楽祭を開催することに決定しました。

今回は、その準備のワークショップとして、演奏、作曲、指揮など今まで学んできたさまざまな表現方法や技術の成果を確認し、音楽祭で披露するためのレクチャーおよびリハーサルの会としました。

 

「概要」

 「演奏部門」 

  受講生による既存の声楽曲、合唱曲の演奏、受講生作曲の新作合唱曲の演奏、ピアノ伴奏

 「作曲部門」 

  新作合唱曲の作曲(受講生が新作し、演奏部門にて受講生合唱団が発表)

 「指揮・指導部門」 

  受講生による既存の合唱曲、自作合唱曲の指導および指揮

 

「修了演奏」

 今回は、記念音楽祭で演奏するヴィヴァルディ作曲 グローリアから “Cum sancto spiritu”を練習しました。

 

…………

 

創立10周年 第20回ワークショップ 記念音楽祭報告

 

2017年3月26日(日)15時より武蔵野大学雪頂講堂にて開催。

プログラムは、岡本 仁教育音楽学会会長の基調講演、武蔵野大学 伊藤 繁教授による記念オルガン演奏に始まり、休憩をはさんだ3部構成。

 

総勢52名が19回のワークショップを通して学んできた成果を演奏や講演、指揮・指導で披露。最後に参加者全員による合同演奏、ヴィヴァルディ:グロリア・ミサからクム サンクト スピリトゥ と修了演奏、伊藤完夫作曲:尼蓮禪河(にれんぜんが)の朝で3時間ほどの記念音楽祭を終えました。

 

◆開催にあたって(チラシより)

当学会は、作曲家・音楽教育家、岡本敏明教授の功績を讃え、その哲学を受け継ぎ、さらに発展普及のため、教授の後継者と目される指揮者・作曲家、岡本仁とその後輩たちによって教授の生誕100周年を記念して2007年に創立されました。

 

活動は、主に年2回のワークショップにおいて3本の柱「音感・カノン・指揮法」に重点を置き、単に講師による一方通行の講義や指導を避け、参加者一人ひとりが「和音感の訓練と音感の指導法におけるピアノの弾き方」「カノンを皆の前に立って範唱しながら歌わせハモらせ」、その経験を通して「指揮の本質が身につく」という偏りのない音楽愛好家や良き指導者となるための体験・実践の場として独特の特徴を備えています(“教育音楽”と標榜する所以がここにあります)。

 

このたび、創立10周年、ワークショップ開催20回目を記念して、会員及びこれまでの受講生による音楽発表会を行うこととなりました。

 

◆プログラム概要

第1部

基調講演

 教育音楽学会会長 岡本 仁 『生まれて聖堂に浴(ゆあ)みして』

 

記念オルガン演奏

 武蔵野大学教授 伊藤 繁

  トッカータとフーガ ニ短調 BWV565/J.S.バッハ

  日本の唱歌による四季 榊原旬(ひとし)編曲

  我が母が教え給えし歌 ドボルザーク / 榊原旬 編曲

 

独唱

 佐賀県小城市立小城中学校教諭 バリトン: 松尾喜一 伴奏:松尾恵子

  翼 武満徹 詩・曲

  歌劇「アンドレア・シェニエ」より 国を裏切るもの  ジョルダーノ

  「4つの風刺的な歌」より サッちゃんの家  畑中良輔 詞/大中恩 曲 ほか

 

独唱

 メゾソプラノ:小関奈々 伴奏: 松 里華

  ます 作品32(D.550) シューバルト 詞 / シューベルト 曲

 

独唱

 バリトン:小関基宏  伴奏: 松 里華

  「5つの歌曲」より セレナーデ 作品106-1 クーグラー 詞 / ブラームス 曲 ほか

 

独唱

 メゾソプラノ:小関奈々  朗読:小関基宏

  きつねがだまされた話 川崎大治 詞 / 猪本 隆 曲

 

重唱

 バリトン・メゾソプラノ:小関基宏・奈々

  逢えてよかったね 小原孝 詞・曲

 

独唱

 二期会員 ソプラノ: 田島朱季子 伴奏:高牧恵里

  プラーターに再び花は咲きop.247 シュトルツ

  春の声op.410  J.シュトラウス ほか

 

第2部

講演:元公立中学校長 島巡紀子

  『教育現場における音楽科の役割』

 

ピアノ独奏:武蔵野大学助教 高牧恵里

 3つの間奏曲 op.117  ブラームス

 

レディースアンサンブル:武蔵野大学非常勤講師 駒宮典子&マザーズ

 アニーローリー  スコットランド民謡 源田俊一郎 編曲 / 藤浦 恍 訳詞

 グリーンスリーブス イングランド民謡  源田俊一郎 編曲 / 三木おさむ 訳詞

 〜マイフェアレディより〜 踊り明かしたい  ロエベ 曲 北野 實 編曲・訳詞 ほか

 

ヴォーカルアンサンブル:特定非営利活動法人 東京ベルズ

 ぼくのアイドル  アイルランド民 ベンパリ— 編曲 / 高牧康 訳詞

 ダニーボーイ ラズボーン 編曲 / なかにし礼 訳詞

 ペニーレイン  ビートルズ  ラズボーン 編曲 / 高牧康 訳詞 ほか

 

第3部

みなさんご一緒に 指揮と指導:中山晋司

 春の日の花と耀く  アイルランド民謡 堀内敬三 訳詞

 

男声合唱:専修大学グリークラブ 常任指揮者:小橋良行

 ラウテをひきあげよ杯 シューマン曲 / 緒園涼子 訳詞

 アヴェ・ヴェルム・コルプス モーツァルト 〜ドイツ・ミサより〜

 ふたりの擲(てき)弾兵 シューマン 曲 / 近藤玲二 訳詞 ほか

 

作品発表 指揮:村上裕昭

 アニュス・デイ  村上裕昭 曲

 ソプラノソロ 田島朱季子 アルトソロ 大河原ゆかり

 

合同演奏  指揮:髙林 弘

 グロリア・ミサより クム サンクト スピリトゥ ヴィヴァルディ

 

修了演奏  指揮:岡本 仁 オルガン:伊藤 繁

 讃仏歌 尼蓮禪河(にれんぜんが)の朝 伊藤完夫 曲 / 長田恒雄 詞